春になったばかりの野を歩いていると、小さな白い花の群生するのを目にすることがある。「イチリンソウかな?ニリンソウかな?」そして花の数が一つなのを確認すると「ああ、イチリンソウだ、春だなあ」と悦に入るのである。花茎から出る花(実は萼片)が一つだとイチリンソウ、二つだとニリンソウ、三つあるのがサンリンソウと実に分かりやすいネーミングじゃあないですか。しかしイチリンソウときたら一輪の花なんて他にもたくさんあるのに彼らを無視して自分の名前にしてしまうなんて何とも図々しいではないか。
さて、花茎から一輪の花が出ているのでイチリンソウだと思っていたら、近づいてよく見ると花の形が違うってことがあります。下の写真はイチリンソウではなくアヅマイチゲです。一輪なのにイチリンソウの名前を使えず、泣く泣く(か、どうかは知らないが)イチゲの名前をもらいました。
イチゲには多くの種類があって、有名なのは高山に咲くハクサンイチゲでしょうか、登山をする人にはおなじみの花です。ハクサンイチゲは萼片がイチゲの仲間よりイチリンソウやニリンソウに似ていますが、里山に咲くアヅマイチゲやキクザキイチゲは萼片が細長く萼片の数もイチリンソウよりも多いのですぐわかります。下の写真はキクザキイチゲです、アヅマイチゲの花とよく似ていますがよく見ると葉っぱの形が違います。菊の花の葉に似ていることからキクザキイチゲと呼ばれます。
ニリンソウとサンリンソウの写真は撮ったのにイチリンソウの写真を撮っていなかったので写真が無い、イチリンソウの花はニリンソウの花より一回り大きいのですぐわかるけれど、一輪しか咲いていないときには花の数で分けるのは難しい、葉の形で分けるのが賢い見分け方である。
これらの花は皆キンポウゲ科のイチリンソウ属です、もうみんなイチリンソウでいんじゃない(笑)
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