3月1日 栃木県 那珂川釣行

 2020年 渓流釣り解禁は今年も那珂川

れよあれよと思うまに3月1日がやって来た。例年の事だが今年も弟と那珂川の上流へと向かった。数年前までは余笹川で解禁と言うのがお決まりだったのだが最近はすっかり木俣川が取って代わっている。しかもここ2年ほどは解禁から「ボ」と言う憂き目に遭っているのだが、それも然程気にならなくなって来ている。3月1日は解禁の雰囲気が味わえれば良い位の気持ちでこの川に行く。福島解禁の一か月前というマイルストーンがとして栃木の解禁があるのだ。木俣川の温泉脇の流れが今日の目的地である、解禁初日は当然釣り人も多いので、解禁の賑わいを眺めながら、眠くなったら川の傍でコーヒーを飲んであわよくばヤマメの顔を見るくらいの一日を過ごすのである。ここには川の脇にベンチが有るのでまったりするのにおあつらえ向きなのである。去年から今年にかけては異常なほどの暖冬で、例年ならわずかに残る雪も山にさえ見えない。予想通り川の水量も申し訳程度しかないので魚も少ない溜まりのポイントに集中して溜まっているのだろう、放流場所の橋の下のわずかに深みのあるプールに釣り人たちが肩を寄せ合って竿を並べている。今年の解禁は日曜日に当たったのでかなりの人出を想像していたがそれほどでもなかった、釣り人が減ったのか魚が減ったのか、まあどちらにしても僕らの体制に影響はない、昼ぐらいには釣りに飽きた餌釣り師たちが川を上がり幾分の静けさを取り戻すだろう。そして、少しばかり平静を取り戻した魚と虫たちが日常に戻ろうとする。僕らはいつもその頃を見計らって午後の2~3時間の釣りを楽しむのである。まだ時間も早いし、この場所にはもう少し後から入る事にして、一先ず少し上流の、おそらくは釣り人があまり入っていないだろう場所を釣ることにして林道に入った。

んな狭い道で対向車とか来たら面倒くさいよななんて弟が言うもんだから案の定カーブから大きな四輪駆動車が顔を出した。若い三人組のお兄さんたちだったが大きな四輪駆動車で林道を兄さん、あと50cmも前に出てくれればすれ違えるのだが、合図をしても微動だにしない。進めないなら車一台分戻れば広い空き地があるのにな。仕方がないので土手に左側のタイヤ来て挨拶も無く先に入って行くってどんな神経してるんだろうね。だから、ル○○マンはとか、○○ナンバーはとかマナーの悪い代表みたいに言われちゃうじゃないのよ。ちょっとばかりイラッとしたものの解禁早々不愉快になってもしを乗り上げて斜めになってすれ違った。手前で停まればすれ違えるのにギリギリ頭を突っ込んできて動かなくなる人がたまにいるけれどカーブはスピードを落としていろんな状況を想定して走りましょうよ。

渇水を釣る
予想はしていたもののこれほどとはね、殆ど渇水状態だ。
渇水を釣る
予想はしていたもののこれほどとはね、殆ど渇水状態だ。

渓できそうな場所には既に車が2台停まっている、まあ解禁初日だからしかたない、その後を追ってのんびり行こう。隣のスペースに車を停めて釣りの支度をしていると○○ナンバーの2人乗りの車が通りすぎ10メートルほど先に停まった、車を降りるとこちらをチラ見しながら藪越しに下方の流れを覗いている、車に戻ったので移動するのかと思ったらルアーロッドを取り出し、準備中の僕らの脇をバツの悪そうな顔を見せながら川に降りて行く。ルアー釣りって機動力があっていいよなあ・・・なんて話じゃない、後からょうがないさっさと支度を終えて川に入ろう。ガイドにラインを通しティペットにフライを結ぼうとした時に僕の明晰な頭脳がある事に気づいた。出がけに玄関に並べた釣り道具をチェック、「ウェーダー持った」「ベスト持った」「ロッド持った」「リール持った」「偏光グラス持った」「リーダー・ティペット持った」「財布持った」「・・・持った」完璧にチェックしたはずだったのだが、僕の脳みそははっきりと記憶している、フライボックスはチェックしていない。今日のためにタイイングしていた数本のフライを納めるため、自分の部屋のデスクの上に二個、間違いな置いてきたことを映像入りで思い出させた。ベストのポケットをまさぐる必要もない完璧な記憶だ。

るで、鉄砲抱えて敵前に出たら弾が無かったみたいなものである、仕方なく、弟のフライボックスからフライを一本拝借してティペットに結んだ、そして先を行く弟の後を追って川へと続く山道を下る。自分のフライは、それぞれに釣り場の状況やハッチの状況など様々なシチュエーションを考えて作って居るわけで複数種のフライと連携して使う事も戦略としてあったりするものだ。言わばフライボックスの中はその日の釣りのセットリストのような物なのだ。だから他人様のフライを拝借した時点で今日の釣りに関する作戦が断たれてしまうのである。まさにナイフ一本持って敵陣に乗り込むごとき仕業であり、当然ながらモチベーションはダダ下がりとなるのであった。

モーニングコーヒー
河原でコーヒーと言うのも毎年の楽しみ、釣れても釣れなくてもこの日のルーチンなのだ。
モーニングコーヒー
河原でコーヒーと言うのも毎年の楽しみ、釣れても釣れなくてもこの日のルーチンなのだ。。

朝の渓は川面を包み込むように冷気が漂い、寝ぼけ眼を引き締める。シャキッとした目でポイントを探るが水量の少ない流れに遊ぶ魚の姿は見えない。冷たい流れの底で石ころの隙間に張り付いて動こうともしないのだろう。上流から一人若いフライマンが下って来た、軽く頭を下げて「どうでした?」と聞くと「なんとか一匹だけ釣れました」との事、この水温の中で一匹でも釣っただけ大したもんだ。まだまだ気温も水温も上がらない中、プールの上に舞うユスリカの小さな群れを見付けたものの、他に生命力を感じさせるものは見当たらない。水面上での釣りはここではもう少しカレンダーを捲る必要がありそうだ。先を行く弟もそろそろモチベーションが薄れたらしく、こちらを振り返ると「上がるか?」とつぶやいた。そうだね、上流はまだドライフライの釣りには早いかもしれないし、そろそろお約束のポイントの向かおうか。

泉脇の流れには、様々な仕様の釣り人が集まっている。軽装の餌釣り師、浮舟を下げて名が長竿をもつ一見アユ釣り師のような餌釣り師、おもちゃの竿とリールで浅場を引っ張る親子連れ・・・。そろそろお帰りになる釣り師も居るはずだが今年の釣り人は何処か違う、まだまだ餌釣り師が残っている。仕方がないので、しばらく様子を見てから釣り始めることにして河原のベンチでお湯を沸かし早めのランチタイムを取った。それにしても長竿を持った餌釣り師が入れ替わり立ち代わり僕らの目の前のポイントに入って来る、何だろう今年の餌釣り師はとことん粘るなあ、僕たちもそろそろ釣り始めないと陽が落ちる。いつも釣り始めるポイントにはまだ餌釣り師が3人程竿を出しているので少し上流に向かう、この上はあの長竿じゃ釣れないだろうと思ったが、残念そこにも3人ほどの餌釣り師が竿を出していた。仕方がない、彼らが疲れ果てて諦めるまで後ろを釣って行こう。やがて30メートル程先に入っていた3人組の餌釣り師たちもどうやら諦めたようでゴソゴソと川から上がって行く。

フライフィッシャー
渇水の浅い流れにラインを伸ばすのだが。
フライフィッシャー
渇水の浅い流れにラインを伸ばすのだが。

らは、最後の時間を釣り上がって行く、浅い流れで小さなヤマメがフライをつついた、今日初めの、いや、今年初めのヤマメの姿を見た。まあ、それだけでも良かった事にしよう、この状況じゃあ今年も「ボ」に違いない。少し釣り上がると段々と落ち込みが続くポイントに出る、落ち込みの肩のところで待望のヤマメがフライを咥えた、ゆっくりとロッドを立てた時、ロッドティップに加わる重みを感じたとたんにロッドティップが何者かに押さえつけられた。なんと、頭上に張り出した木の枝にぶつかってロッドが停止したのだ。今年の初ヤマメはこうして流れに帰って行った。取りあえず今日のところはここまで、ひと月後にはいよいよ地元の解禁だからそれまで準備を怠らないようにしておこう。と言う事で、

結局、栃木の解禁は2年連続で「ボ!」なのだった。
FFこみゅへのご意見・お問合せはこちら