5月3日 小松川釣行
鮫川上流の小渓なら釣りが出来るかもしれない。
ゴールデンウィークもそろそろ折り返しだというのに県内の河川は未だに水位が下がらない。僕は風邪をひいたらしく喉が痛いし、釣りに行くかどうかちょっと悩んだのだが折角のゴールデンウイークだしここは頑張って釣りに行くことにした。こんな時浜通りの河川が釣りにならない現状に心から怒りを覚える。いろいろ考えた結果、いわき市を流れる鮫川の支流に行くことにした。
水量は幾分多いが、ほかの河川と比べれば雲泥の差。ヤマメはいるのだろうか。
そこなら少々の雨が降ってもそんなに濁りの入ることは無いし、ヤマメもそれなりに遊んでくれるはずだ。春の日差しの中、里川のヤマメ釣りも捨てたもんじゃあない。僕は夏の山岳渓流の清い流れが大好きだが、春の里川も大好きだ。(さとがわとは呼ばない、愛情をこめて、『さとっかわ』と呼ぶ(笑))穏やかな流れをゆったりと釣り上がると気持ちも穏やかになって来る。土手の草木や花、それにまとわる虫たち、近くに聞こえる鶯の声、季節の移ろいを肌で感じる事が出来るのが里川の釣りだ。釣りを趣味として良かったなあと思える時間がここにはある。
ほとんどハッチも見当たらず、シロハラコカゲロウパターンで釣り始めた。
国道349号線を鮫川の上流からいわき方面に向かうと古殿町で県道14号線にぶつかる。県道14号線は御斉所街道と呼ばれ、福島県の中通りといわき市を結ぶ重要な道路となっている。目的地はこの県道14号線をいわき方面に向かって程ない所なのだが何と通行止めの看板が立っているではないか、3月11日の東日本大震災の日、震度6弱の大きな余震により県道14号線沿いのいわき市田人町石住地区を死者4名を出す大規模の土砂崩れが襲った。その影響で県道14号線は、古殿町といわき市の間で通行止めになっていたのだ。目的地は被災現場よりすっと手前だし、地元車だろうか通って行く車もあるので、ダメもとで行けるところまで行ってみることにした。幸い目的の川までは問題なく着く事が出来たが、この震災の大きさを改めて身に感じた。
いつもの駐車場所に車を停めて川を覘いてみた。やはり水量は多めだが、阿武隈川水系や会津の河川と比べればそれほどではない。僕は車からウェーダーを取り出し身支度を整えて川に入った。地震の被害だろうか川の土手の護岸が一部壊れて赤土が剥き出しになっている。深呼吸をして、川面に目をやり、川の上の空まで続く空間に目を移すが、それらしいハッチも見られない。僕はシロハラコカゲロウのパターンを7Xティペットに結んだ。この川には珍しいフラットで緩やかな流れにフライを落とすといきなり12、3cmのチビヤマメが出た。「小っさ!」それでも一投目に魚が出るなんて幸先が良い証拠じゃなかろうか、その後この流れだけで6尾のヤマメと遊んだ事がそれを実証していた。
今年初めての福島のヤマメ。原発事故のの影響を受けないでいてほし。い
里のヤマメは渓のヤマメと違い、その流れに合った、それらしい色と少しおっとりした顔つきをしている(と、僕は思っている)。ヤマメのストマックには消化したニンフのカラだけが入っていた、先日来の大水で水生昆虫が流されたのかも知れない、ハッチも思ったより少ないからね。その後も、ひとつひとつのポイントを丁寧にフライを流して行った。1kmを釣り上がるのにちょうど3時間半かかった、一つのポイントで2〜5尾のヤマメが出るのだから、なかなか先へ進めないのだ。ライズ待ちでもなければ普段はこんなに粘る事は無いのだが、今日はフライのパターンやカラーを変えながら魚の反応をチェックしつつとかなり楽しい釣りが出来た。