釣行記 5月27日(土)阿賀川支流 奥川・一ノ戸川の釣り

釣り

先週のリベンジに西会津へそして一ノ戸に戻る

休暇を取ってまで計画したキャンプ&フィッシングが失敗に終わった先週のリベンジに今回は弟も引っ張り出した。どうやら山形県の某河川釣行を計画していたらしいが、未だ水量が高いしこちらはヤマメもいっぱい釣れるからと上手い事たぶらかして西会津へと向かった。

4時半頃に家を出て磐越自動車道を西へとひた走り目的の奥川には午前6時過ぎに到着した。まずは去年良い思いをした支流へ向かったが支流沿いの林道入り口には「通行止め」の看板が待ち構えていた、ここも昨年8月の大雨で道路が崩落したらしい。

流木が所狭しと並ぶ、去年の豪雨の凄さが目に浮かぶようだ

とりあえず行けるところまで車を進める事にしたが道路下の川には大量の流木が折り重なっていて、まるで材木置き場のようになっている。暫く進むといつも入渓する橋のすぐ先の道路が崩れていてそこから先が通行止めになっていた。

水深もすっかり浅くなっていて、ところどころに有る大石の周りや流れの変化を見つけてフライを流すものの全く反応がない。去年はこのあたりで数尾のイワナとヤマメをキャッチしていたはずだ。川を塞ぐ大岩や大きな倒木を越えて釣り上がって行くもののフライに出るイワナもヤマメも居ない。

良さそうなポイントを流すものの反応は全くない

大きく90度右に曲がる流れを塞ぐように重なる大岩を越えた時、目の前に現れた景色に呆然とした。そこには流木がたまり荒涼としたガレ場が広がっていた。もともとは狭い谷底を這うように流れていた川なのになんという変わり様だろう。

にわかには信じがたい風景の変わり様に一瞬別の世界に迷い込んだような感覚さえ覚えた。広く荒れた河原に、川を塞ぐように倒れた何本もの杉の大木の枝の間を潜り、ガレ場と化して崩れ落ちる石に足元をすくわれながら釣り上がるが一向に魚が釣れる気配はない。辺りに目を凝らしても魚の餌になりそうな虫の気配さえ全くないのだ、一体全体この川に何が起こったというのだろうか。

小さな谷がこんなに開けてしまった。この荒廃ぶりは凄まじい

「去年はヤマメが結構釣れたんだけどなあ・・・」と言い訳めいた言葉を何度呟いただろうか、勿論同行した弟が聞き逃さないように。

「だめだなこりゃ、本流に行くか」と弟を促して谷から上がり川沿いに舗装路を下った。途中の草むらに咲く花やワラビの畑に目を取られながらも足取りは重い。「あ、これ熊だわ」と弟が指さす先には1m50cmほどに育ったイタドリが生えていて一様にその先っぽの葉目が無くなっていた。道沿いに草むらに出たり入ったりした形跡が確かに残っている。「熊はこうして先っぽだけ喰うんだよな」と弟が言うのだが鹿かもしれないし半分疑って聞いておこう。

車に戻りロッドを畳みながら「どうする本流やるか」と弟に聞くと「いや、一の戸川が良いんじゃね」と言うのでここは素直に弟の意見を採用する事にした。実はここに入る前に本流筋を一通り眺めて来たのだがどうも弟は気に召さぬようで川が狭いとか浅いとか呟いていたしこの川は快適なテン場も少ないので先週の仇を打ちに行くのも有りかもしれない。

そろそろ昼になるし一の戸川に移動する前にいったん着替えて西会津で腹ごしらえをしていくことにした。西会津町のグルメと言えば味噌ラーメンである、いつからか口コミで広がったのだがこの町の食堂のほとんどが味噌ラーメンを提供している。その中で西会津に最初に味噌ラーメンを持ちこんだと言われる「越後屋」さんに行くことにした。ここも人気の店で昼どきには行列が絶えない店である。私は何度か伺っているが弟は初めてだというので連れて行くことにした。

未だ昼前だけれども私たちの前には4組ほどのお客さんが店の前に並べられた椅子に座って席待ちをしていた。私たちもそこで順番待ちをすることにしたのだが今日の日差しは強烈に暑い、ラーメンをすする前から汗だくになって更に熱い味噌ラーメンに挑む事になりそうだ。

私は辛し味噌ラーメンを注文した。優しいけどコクのあるスープ好きだ

甘めの優しい味噌スープとしゃきしゃきの野菜がほっこりとする味噌ラーメン、今日は辛し味噌ラーメンを注文した。

どうも前回からラーメンの食リポが続き、釣行記と言うよりはラーメン紀行とでも改名した方が良さそうな気がして来た。

味噌ラーメンを十分堪能して阿賀川沿いに喜多方市山都町へと車を走らせた。遊漁券のある「山都町温泉保養センターいいでのゆ」までわき目も降らずに一目散、遊漁券を購入してキャンプの準備をすべく「御沢野営場」へと向かった。

先週も来ているので勝手知ったる我が家である、管理事務所で使用申込書を記入し使用料1,200円と一緒にポストに入れた。キャンプ場のシステムについては前回の釣行記に詳しく書いてあるのでそちらをご覧ください。

飯豊山御沢登山口にある御沢野営場
勝手知ったる我が家、今日も貸し切り

先週に続きキャンプサイトは貸し切り、テントとタープを張り終えテントにシュラフとマットを押し込んでいた弟が「うわ!なんだこれ!」と素っ頓狂な声を上げた。弟が指さすテントのフライシートをよく見るとゴマ粒くらいの何かがうごめいている。夥しい数の小さな虫が地面から湧き出してテントをよじ登っている風だ、フライシートを手でたたくとパラパラと落ちるのだがすぐにうじゃうじゃと這い上がってくる。スマホを使って拡大してみると、てんとう虫みたいな形をした黒っぽい虫である。何者なのか分からないが生まれたばかりの幼生なのだろう。「あ!親見つけた!」と弟が大声を出して写真を撮っている。全長2~3ミリメートルで茶色っぽい、形は少し丸いけどなんとなくカメムシみたいな感じである。

ゴマ粒みたいなやつらが大群でテントをよじ登って来た
どうやらクサギカメムシらしいがこれは6~7ミリメートルくらいのおそらく2齢幼生くらいだろう

翌日、早速ググってみたところどうやらクサギカメムシの幼生らしい、弟が親と言っていたのはおそらく2齢め位だろうか、ゴマ粒みたいなのはきっと産まれたばかりなのだろう。それにしても赤ちゃんとはいえ決して可愛くはない、女の子を連れてきてこんな場面に出会ったら速攻で帰る羽目になるだろう。いくら払いのけても執拗に這い上がってくるので諦めて釣り支度にかかることにしたそのうち飽きてどこかに行くだろう。

入渓場所まで車で走り道路わきのスペースに車を停めた。ロッドソックスからロッドを取り出して一瞬脳みそが膠着した。「ロッドティップが無い!」第一スネークガイドとトップガイドの間でブランクが折れている、可哀そうに折れたティップ部分がロッドソックスの中に取り残されていた。私の車にはコイル状のロッドキーパーが付けてありこれがなかなかの優れもので私としては大のお気に入りなのだがロッドが運転席と助手席の間に出てくるのが弟かには気になるらしく、いつも助手席側の前後席のアシストグリップにロッドベルトで括り付けるのだ。どうやら今回はロッドベルトの締め付けが強すぎたのかティップの位置が悪かったのか運悪く私のロッドティップが犠牲になったのだ。

弟に折られたティップ、スネークガイドのフット位置で折って釣りを続けた

折れてしまったものはどうしようもない、キャスティング時のフライラインへのロッドの干渉を極力減らすべくスネークガイドのフットのギリギリの位置でブランクを折って何とかキャスティング出来るようにした。

数年前にも釣りをしていてロッドティップを折ってしまったことがあり経験は積んでいる(そんな経験要らないT^T)

川に出て釣りを始める前に「ティップが無くても魚は釣れるVerⅡ」をSNSに上げようと思いつき、弟に動画を撮影してもらうことにして早速一つ目のポイントにフライを送りむ。一つ目のポイントはリールを下向きにしてアンダーループでガイドだけにラインが接触するようにキャストする。見た目は良いポイントなのだが多分大勢に責められているのだろう全く反応がない。

その上の段のポイントではオーバーヘッドキャストでの釣り、これも基本はフライラインがスネークガイドだけに触れるようにキャスティングする。バックキャスト時には手首を外側に開きながらポーズでは完全に開きフォワードキャストに移るときに少し手首を閉めながら最後のポーズでまた手首を開くという動作の繰り返しでキャストする。ロッドの移動時に開いた手首を閉める動作でロッドにパワーを乗せてやるのだ。

このポイントは左岸に木の枝が張り出していてその下の流れが格好の捕食ポイントに見える。上の段からの落ち込みから流れ出す白泡の切れ目に落としたフライを縦にフリップしてメンディングしながら木の枝の下に送り込んでやる。ティップが無いのでメンディングはちょっと難しいが縦に振って前にラインを送る動作ならそれほど苦労なく出来るだろう。

二投目、狙った通り張り出した枝の下からヤマメが水面を割ってフライを咥えた。前回もティップが無いままでヤマメを釣ったし「ティップが無ければヤマメが釣れる」みたいなジンクスが出来そうな予感。いやいや、勘弁してくれ。

ティップは無くても釣りは出来る!第二回目(TT)

※ちなみに「ティップが無くても釣りができる」SNSバージョンはこちら。

動画撮影も成功したし、期待して釣り進むもののそれ以降全く何の反応も無く時間だけが過ぎ気づいたらもうすぐ日が落ちそうな時間になっていた、こんな時間に熊さんに出会うのはゴメンなのでさっさと川を上がった。結局二人でキャッチできたのはこの一尾だけ、先週に引き魚の話はございません。

「いいでのゆ」で汗を流して後は飲んで寝るだけ

後はまったりキャンプが待っている、その前に「いいでのゆ」に直行して汗を流す事にしよう。

ランタンの灯で夕飯の準備、なんとも楽しい至福の時間

さて、ランタンに灯が入り焚火の準備も出来た。今夜のメニューは昨夜、郡山市内のスーパーで買った新玉ねぎと牛肉で作る牛丼、どうせならとその店で安く売っていたプラスチック製のどんぶりと塗り箸も買ってきた。コッヘルで食うより幾らか上等じゃないか(笑)

深夜の大型スーパーで仕込んだ新玉ねぎと牛肉で特製牛丼を作った。卵も買ってくるんだったな

焚火と安バーボンでまったりとした時間が過ぎて行き、疲れた身体が知らずと椅子の背もたれに寄りかかり始めるとやがて夜の冷気で目を覚ましコソコソとテントに潜り込んだ。

翌朝は、高原の冷気が心地よい目覚めを誘った。澄んだ空気を肺いっぱいに吸い込んであっという間に脳が覚醒した。毎日のベッドじゃありえないさわやかな目覚めだ。

新玉ねぎの残りとアボカドでホットサンドを焼いた。朝のコーヒーとホットサンドこんなにゆっくり朝食をとることも久しぶりのことだ。

朝はホットサンドとコーヒーで済ます

朝食を終えてテントを撤収しようと思ったら春ゼミがテントを訪問してくれた。あまり虫は得意じゃないけれど昨日のゴマ粒たちと比べたらなんと愛らしいことだろう。

朝、春ゼミがテントを訪問してくれた
昨日のゴマ粒にはこんなことさせられない

ロッドも折れちゃったし、今日は観光でもしながら早めに帰宅することにした。川入の橋のところまで来たら軽トラックから降りて川を覗くおじさんがいた。どうやら漁協関係のおじさんのようなので車を降りて話を伺う。「どうも釣り人が多いせいか魚が見えませんね」と言うと「ここ数年全然釣れえねんだ、俺地元だから殆ど毎日来てるけど全然魚がいねえ」「昨日放流したらしいけど情報知ってるやつらが来てみんな釣ってっちまう」と嘆く。おいおいそんなこと言っちゃっていいのか?と心配になるくらいだがやはり魚の絶対数が少ないらしい、過去の流れを知っているだけに以前の川の復活を望むばかりだ。

右支大白布沢は気数年が左支小白布沢は偶数年が禁漁となる

今回も釣行記にあらず、次回こそはその名に恥じぬ釣りをしたいと思うのだが・・・。