釣行記 5月6日(金)鮫川支流 四時川の釣り

sitoki-river 釣り

Leonard Millsが逝った日

世はGWの真っただ中、コロナ禍は早3年にも及び今年のGWは昨年まで実施されていた移動の自粛要請も無く東北新幹線の利用者数は昨年の2.3倍とか、これをどうとらえるかは人それぞれだが能天気な私は弟を誘って釣りに行くことにした。

昨年末からの大雪のおかげで会津方面はいまだに雪代が収まる気配もなく、相変わらず原発事故で開かない浜通りの河川を除けば今の時期、安心して釣りが出来るのは夏井川か鮫川もしくは久慈川くらいだろうか。私もしばらくの間は鮫川詣でになりそうな予感がしている。そんなことで今日は鮫川の支流の四時川に向かうことにした。

磐越道をひたすら南下し勿来インターで高速を降りた、ETCのゲートを抜けて突き当りの国道289号線を左折し西に進むと間もなく四時川へ出るのだが、私たちは朝食と昼食の準備にコンビニに向かうため交差点を右折する、少しばかり車を走らせると道路の右側にコンビニが見えてくる。必要なものはここで手に入れてから川に入るのがおすすめである。

朝食のおにぎりを口にくわえながら今来た道を引き返した。国道289号線が四時川を渡る鮫川大橋の手前に「四時川観光ヤナ組合」がある、ここで遊漁券が入手できるので遊漁券の準備が出来ていない人はここで購入するのが良いだろう。朝早くから空いているが嬉しい。

僕らは少し上流へと移動して川に入ることにした。因みに四時川渓谷に向かう白米・旅人線は台風19号による道路流出により全面通行止めとなっている。

この辺はもう何年も釣りをしていないが、どんな状況なのだろう。釣り支度に時間のかかる私を置いて弟はさっさと川に降りて行く。やっと準備を終えて川に降りたとき、少し上流で私を待っていた弟の竹竿が曲がった。

「おお、さすが私の作った竿だけあってなかなかのベンディングカーブだ」などとくだらないことを呟いて弟の方に向かおうと左足を大石に乗せた瞬間、支えになっていた右足が滑り前方へとダイビングをする格好になった私は瞬間的にロッドを放り投げた。手から離れたロッドは難を逃れたものの放り投げた先にあった石にリールが当たりガキっという鈍い音を立てた。

まあ私の場合こんなことはよくあることなのだが、リールをぶつけた音がいつもよりもちょっとだけ大きかったのが悲劇の幕開けの音だった。

取り合えずは身体も竿も無事だったので、両手の砂を払い釣りを始めようとラインをリールから引き出そうとしたらスプールが全く回らず、その馬鹿強い力でラインがスプールの奥に巻き込まれるという二重の悲劇を産むのだった。

こうなるとニッチモサッチモ行かない、とりあえずラインを救出すべくスプールをリールから取り出すことにした、この手のレイズドピラーやバーミンガムスタイルのリールは如何にも上品で竹竿にはよく似合うのだがトラブルにはすこぶる弱い。筐体が弱いということではなく扱いが面倒くさいという意味である。アウトスプールのリールなどに比べたら遥かに頑丈である。

ロンクーシーが逝った

このLeonard Millsはスプールを取り出すために片側5本のネジを外さなければならない、これを面倒と言わずなんと言うのだ。しかもニッケルシルバーの小さなマイナスネジはその辺の釣り道具屋で手に入るような代物でもないので一本でも失くしたら大ごとである。以前LEONさんから譲り受けた予備ネジが数本あるので何とかなっているがそれでも失くたりしたら大ごとなのである。

作業場にはテーブルになる安定した石と疲れない座り心地の良い椅子の代わりになる大きな石が必要である。何とか河原に作業場所を確保し、テーブルの上にYanoSilk製のハットを裏返して置いた、勿論ネジを失くさないようにである。

さて、作業場所は出来たのだが肝心の道具が無いのに気づいた、そうネジ回しが必要なのだ。普段は替えのリールを含む複数番手のラインを巻いたリールと予備のネジと精密ドライバーを入れたリールバックを車に積んでいるのだが今日に限って3番ラインを巻いたLeonard Mills一個だけをわざわざリールバックから取り出して来たのだ。

それと言うのも、いつも遠征に出るたびに「そんなもの邪魔になるだけだ」と弟に叱られるので止めたのだ、だからこの責任の半分は弟に有るはずだ。なのに「なんで、今日に限ってリールバック持ってきてないんだ」と叱られた、何かがおかしい。

ネジ回しの代わりになる物が何かない考えていると、弟がベストのポケットから小さなフォールディングナイフを取り出した。とにかくこれくらいしか使えそうな道具も無いので仕方なくナイフの刃をマイナスネジの溝に入れチマチマとネジを回すこと十数分、やっとスプールを取り外したがバックラッシュのようになったラインは残念ながらニードルやらピンセットやらが無いと引き出せそうにない。諦めてスプールを戻しまたネジを回して十数分、ついに成す術が尽きた。

良く見ると石に強打したリールのカップがつぶれている、スプールのシャフトも傷がついているのでおそらくゆがんだところを無理に回そうとしたのが原因で噛んでしまったのかもしれない。

流石にもう諦めるしかないと思い、弟を見るとまた竹竿を曲げているじゃないか、なんなんだあいつは一体。「だめだ、釣り出来んわ」と言うと「俺、三匹釣ったぞ」と嬉しそうに答える。返事になってねえから、なんて奴だ。

突然思い出したように「あ、二番ライン巻いたリールならあるかも」と言うので、「全然問題ないから持って来て」と頼んだ。弟が車から戻る間に引き出したラインが絡まぬようフィギュアエイトでラインを束ねそっとベストの内ポケットにしまった。

リールを持って戻ってきた弟が「あ、三番ラインだったわ」と言う。なぜそれを早く言わん、小一時間かけてイライラしながらリールを分解していた俺はなんなんだ、この時間を戻さんかい。

ガイドにラインを通し釣りを再開したのだが、すでに集中力が切れた私が操るフライラインは河原の石に絡んでみたり、風にあおられたフライが河原の葦を釣ったり、不用意な遡行で足元のヤマメを無造作に追い払ったりと負のスパイラルに吸い込まれた私の口をつくのは「なんなんだよ!」!「またかよ!」!「頭にくる!」の繰り返し。

なんだかんだでやっと釣ったヤマメはたったの二尾

やっと釣れたヤマメもすっかり色あせて見える程、モチベーションが下がりきっている私に「いやあ、久しぶりに二桁釣ったよ」と言う情け容赦の無い弟の一言が背中に刺さる。まあ、これも釣りだから仕方ないよな。

川から上がって車までの道のりがやたらと長いのだった。

田人町から後斎所街道(県道14号線ーいわき石川線)に出る帰り道、以前からなんとなく気になっていた「ソースカツ丼」と書かれた大きな看板を見て思わず弟と顔を見合わせ「食っていくか」「うん、気になってたんだよね」と話はすんなりとまとまり名物?のソースカツどんを頂いてから帰ることにした。

これがまたびっくり、ご飯の上に乗った大きなカツが小さく見える程のご飯が入った大きな器、肝心の味はと言うとこれがまたおいしい。新潟のタレかつのソースを濃くしたような、あっさりしているのにこくがあるというとっても好みの味。厚みのあるカツもとても柔らかで実においしかった。

器もカツも大きいけどご飯の量が半端ない

「他のメニューの量もこんなにあるんですか?」と聞いてみたら「何しろ田舎の食堂ですから」と笑って答えるおばさんの笑顔が素敵だった。

帰りの車内は口を開くのも辛いほど、やっと出る言葉は「う~、苦しい」だけ、自信の無い方はミニサイズもあるのでそちらをチョイスすると良いかも(普通のカツ丼の量だと言ってた)

「お食事処 ながせ」はいわき市田人町にあります
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