釣行記 4月30日(土)鮫川支流での釣り

釣り2022

会津の境から中通りを通り越して浜通りへ

もう5月になるんだし会津は無理としても中通りの川もそろそろ良いんじゃないかと思い、阿武隈川の上流部まで車を走らせた、ただ今週は雨ばかり降っていたので若干心が揺れている。車を降りて眼下の流れを見たら、「やっぱりか・・・」とため息が出る。とにかくここまで来たんだから竿だけは出してみようといつもの場所から入渓したのだが。

平水位と比べれば20cm以上は高いだろうか、雪解け水と降雨が合わさって流れ下るのだから仕方ないのだが、おそるおそるプールの尻の流れに足を入れるとものすごい水圧が両足をすくおうと襲ってきて一歩足を進めるだけで一苦労だ。そう言えばウェーディングスタッフが車の中に有るのだが何時も川に入ってから思い出す。これくらいの水深も水圧も昔ならへいちゃらだったのに足腰の退化を身に染みて感じる年ごろになってしまった。鍛えねば、と思うのだがそれがなかなか難しいのである。プールの尻から左岸に渡りプールの頭を右岸に渡る、もうそれだけでヘトヘトになるのだ、鍛えねば。

水量が多くても、岸沿いの石裏ならイワナは出るだろうと高を括って川に降りたのだが全く魚の反応が無い、水温が低すぎて動きたくないのかもしれない。小さなポイントを拾ってフライを浮かべるのだが一向に反応は無く、いつも良いサイズのイワナが出る深みのポイントは水量が多すぎて対岸に渡ることすら出来ずに30分ほどで遡行を断念した。

まあ、昼ぐらいになればイワナが動き出す可能性も無くはないだろうが、時計は未だ8時前、そんなに待つ勇気もないのでさっさと車に引き上げた。さてどうしたものか、山を越えれば会津だが到底釣りになる状況じゃないだろう、スゴスゴと家に戻るかさもなくばいわきに向かうかだ。時間も早いし、「え~い、結局、浜通りかあ」と一人大声を出してウェーダーを脱いだ。

さて、国道289号線を南下し白河市へ、県道11号線(白河石川線)を進み石川町で国道118号線を左折そして県道14号線(いわき石川線)を南へ進むとやがて古殿町で国道349号線と重複する。少しいわき方面へと進むとすぐ右手に道の駅(おふくろの駅)が見える、ここでトイレを済ませていわきへと向かった。因みにおふくろの駅に併設されたお食事処「おふくろ食堂」の蕎麦は美味しいと評判なのでこちらを通る際にはぜひ立ち寄っていてほしい。かなりの細麺で腰がありのど越しも軽くなかなかおいしい蕎麦である。細麺なので冷たい蕎麦をお勧めする。

右手の「ヤマザキデイリーストア古殿店」の交差点で重複区間を終えた国道349号線は小野町方面へと左折するが、鮫川は県道14号ここは直進していわきを目指す。ここのヤマザキデイリーストアで鮫川漁協の遊漁券が入手できるので購入しておこう。

暫く鮫川沿いを南下すると県道135号線の交差点にぶつかる、ここを右折して三株方面に向かうと道路沿いに小松川が見えてくる。ヤマメの好釣り場だったが2019年の台風19号の被害で今は重機が入って川を平らにしているので復旧までもう少しかかりそう。上流は大丈夫なので釣りができない訳じゃないけれど。

いや、これから向かうのはそこじゃなくてもう少し先だ、鮫川に並行して走る県道14号線は東北大震災の余震で土砂崩れが発生し約22kmの区間が通行止めとなった。その二年後に開通したもの、翌年2014年4月の大雨で再び土砂崩れが起きるという被害に遭い、それから8年後をかけ今年2022年3月24日に才鉢バイパス工事が完成したところである。鮫川本流にも重機が入り昔の流れが変わっているものの中通り中部といわきを結ぶ主要路線は新しく生まれ変わった。

御斉所トンネル、皿貝トンネルを抜け県道20号線(いわき上三坂小野線)左折すると左手を流れるのが入遠野川である、残りの時間は入遠野川を釣ることにした。

4月7日に釣りをしたエリアへと車を走らせる、いつもの場所に車を停めた。既に一台の自動車が停まっていて、釣り支度をしていると上流側から一人のフライマンが歩いて来るのが見えた、どうやらこの車の持ち主らしい。「釣れましたか?」と声をかけると「ええ、何匹かは釣れました小さいけど」と言うのでなんだか少し嬉しくなって準備をしながら釣り談義に花を咲かせた。魚を釣って満足な人の笑顔には嫌みが無いから大好きだ。

「ここを釣るんですか?」と聞かれたので「そうします」と答えると「私の前にも誰か入っていたみたいですよ」と言うので「そうですか、まあそんなに気にしないから」と笑って答えた。「釣りが上手いんですね、その自信は」と言われたが「いやいや、釣れないのに慣れているだけですよ(笑)」と答えた。本日既に180km以上走って来たのにもうそんなにギラギラする体力なんかありませんよ。釣り竿の事やら川の事やら、話は尽きないのだけれどそろそろ川に行かないとね、「では、行ってきます」と一礼して入渓点へと向かった。

民家近くのタラの芽はすっかり葉っぱになっていた。勿体ない。

民家の近くのタラの芽は一つも採られることなく、すっかり葉っぱになっていた、前回来た時に採れば良かったなあと考えながら川に向かう。きっとこの家の住人が育てたんだろうな、採ったら叱られるんだろうな。などと独り言をつぶやきながら川に降りた。

連日の雨のせいで若干水量は多め、安定のアダムスをティペットに結び釣りを始める。流石に先行者が入った後なのでヤマメの反応はすこぶる悪く、たまにすばしっこいチェイスが有るものの、フッキングに至らない。フライをアダムスからシマザキフライウイングVをウイングにしたメイフライパターンに替えた。アブダメンを淡いクリーム色にソラックスを薄いオレンジにして、アンダーウイングにタン色のCDC付けたパターン。この手のパターンは釣り人には効くけれど果たしてヤマメにはどうだろうか。

フライを替えて暫くして可愛いヤマメがヒットした。解禁してまだ一か月しか経っていないから仕方がないが、気持ち良いサイズに育つにはもう少し日にちがかかりそうである。さて気を良くして釣り上がるがやはりスレたヤマメの出方は厳しい、流れとともにフライについてきて流れの最後で見切るやつもいればフライをキャストしただけで逃げ出す奴までいる、育つのは遅いくせに学習能力はいっちょ前に高いから困ったものだ。

それでも、数尾のヤマメが竿を曲げなんとか釣りの格好がついた。最近は体力も無くなったのであまり無理な釣りはしないと言うか出来ない(笑)。大物を釣りたい訳でもなく、大漁を望む訳でもない。ただただ綺麗な流れにラインを伸ばしてその先の毛ばりに喰いつく渓魚が愛おしいだけなのである。