8月5日 戸渡川釣行

 暑さを避けて、沢を釣った。初めての川に閉口しながら

川内村の空
木戸川を見下ろす夏空

日の外気温は33度。とにかく暑い。こんな日の釣りは山岳渓流に限る。ピーカンの日差しの中、流れ落ちる水の音や白泡の飛沫が心を幸せにしてくれるはずだ。里川の流れは葦の草いきれの中を釣り進むにはあまりにも体力を消耗する。しばらくご無沙汰だった木戸川に行ってみよう。深瀬の中の白泡周りから立派なヤマメやイワナが出迎えてくれるかも知れない。可能性は低いけど・・(^^;川内村から国道399号をいわき方面に進み、木戸川沿いに上流に車を進める。林道を走り一山超えると木戸川第一発電所に着く。空き地に車を停めて釣り仕度を整える。今日の出番はOrvisのヤマメスペシャル、深瀬のこの川を釣るには楽しい竿だ。今日の釣行はここ第一発電所から支流の戸渡川出会いまでを釣る予定。たっぷり3時間の釣行だ。木戸川第一発電所の脇を通り川に向かう。ここから川に出るには少し藪漕ぎになるのでこの時期は長袖のシャツが必須となる。藪に入ったとたん車に時計を忘れてきたのに気がついた。携帯電話も車においてきたので時間を知るすべが無い。この川は入渓したら退渓する場所が無いので適当な時間を見計らって戻るしかない。時計は必須アイテムなのだ。

花
発電所の脇の可愛い花

それから間違って日が暮れてしまったときのことも考えライトのバッテリーのチェックを忘れないことだ。さて、車に戻り腕時計をしてまた藪の中に入っていく。少しばかり歩くと左手下方に川が見えてきた。「あ、ダメだ・・」上流では雨が降ったのだろうか川がうっすらと濁っている。この時期にしては少しばかり水量も多いようだ。このぐらいなら釣りが出来ないことも無いだろうが、ここから上は深瀬の続くゴーロになるので万が一水量が増えたりしたら命取りになりかねない。そもそも水が澄んだ山岳渓流でのんびり釣りたかったのであっさりあきらめることにした。しかし、あきらめたのは良いもののどこにエスケープしようかそれが問題だ。この川に流れ込む支流がこの上の取水堰までの区間2本ある。上流側にマリ川そして下流側に戸渡川である。今日の遡行は戸渡川までの予定だったこともあり戸渡川に行ってみようか。しかし、戸渡川は狭い流れのイメージがあって今まで釣りに行ったことが無い。始めてだがダメでもともと、覘いてて見ることにした。

アスパラ畑
アスパラの畑があった。ここは高原なんだ

道399号に出て、川内方面からいわき方面にひとつ山を越えると道路沿いにマリ川が現れる。釣りを終えたところだろうかおじいさんが車の脇で釣竿をたたんでいた。さらに蛇行した山道を登りいわき市に入る。一山超えるとそこが戸渡集落だ。国道をはずれ集落を左折すると目的の戸渡川が見えてくる。予想通り細い川だが、キャストに困るほどではないようだ。戸渡の集落はどこの家にも入漁券販売の看板が立っている。昔はこの集落でイワナを放流していたと聞いたが現在は木戸川漁協との管理となっている。車を置いて砂利道を歩いていくとアスパラの畑で収穫中の農夫が見えた。暑くて大変だろうに。集落の一番奥の家、なにやら果物をもいでいるおじさんとおばさんがいた。「こんにちは」「イワナ釣りかい?」「はい、釣れると良いですけどね」「この道川に出ますか?」「出るよ、しばらく行くと滝もあるよ。ヘビいるから気をつけて」「はい有難う」こんな、他愛も無い会話が楽しい。遠征に行って一番楽しいのは地元の人たちと話せること。特に釣り人だったりしたらまたうれしい。いろいろなことが聞けて自分の世界を広げてくれる。川原に続く道は腐葉土が堆積した小道で歩くのにやさしく心地よい。すこし林間を歩くと川原に出た。川面を流れる爽やかな空気が今までの暑さを忘れさせてくれた。ここから下流に下って木戸川の合流まで釣り下るのも楽しいかもしれないが、もう時間も無いので素直に釣り上がって集落に戻ることにした。

戸渡川
暑さを忘れさせる流れ

ょっとした流れのたるみを見つけ反転流にフライを乗せた。フライがたるみに戻されたときゆっくり岩魚が浮かんできたがまた戻っていった。もう一度同じようにフライを流すとまた浮いてきて、フライを一瞥して水底に消えて行った。「えっ!なんで?」フライを変えて流すとまた浮いて来るのだがバカにしたように見切っていく。「こんな小さな川でなんでそんなセレクティブなんだよ・・」しばらく粘ったけどとうとう姿を見せなくなった。「こりゃあ、幸先悪そう・・。」気を取り直して大石と大石に挟まれ、細まった流れの脇にフライを落とす。フライが流れの肩にさしかかったときにものすごい速さでフライに出た。「なんだまるで新子ヤマメみたいなアタックじゃないか」その後も何回か出るのだがフッキングしない。まるっきり見切られている感じだ。

ヤマメ
大きな胸鰭がピンと張った別嬪ヤマメ

少し開けた小さなプールの沈み石の脇でイワナが何かを食べている。「しめしめ」静かにフライを落とすと早速のアタック・・が、喰っていない。沈んだイワナがまた同じ場所に定位するまで待ってまたフライを流す。「そら、出た!」派手にライズはするのだがまったく喰ってこない。ほとほと情けなくなってきた。それにしても魚はいる。歩くと足元を縦横無尽に魚影が走り回る。こんなにいるのに何で釣れないんだろう?イライラしだすとだんだん釣りも雑になってきてロッドにリーダーが絡んだり、フライがウェーディんグシューズの刺さったり。更にイライラを増す負のスパイラルに落ち込んでゆく。「はあ・・、情けない(^^;)この川にしては大場所の深みのポイント。流れを受けた大岩がその流れを捻じ曲げたあたりにフライが流れたときに今までとは明らかにちがうアタックがあった。確実にあわせるとはっきりとした生命感が手に伝わってきた。Orvisのヤマメスペシャルのティップがグングンと引き込まれる。

モンカゲロウ
フタスジモンカゲロウが

下のプールまで落ちていった彼女をネットで救うとそれは紛れも無いヤマメだった。しかも結構な別嬪で桜色の体側が生めかしい。しかも良く引くヤマメだ。胸鰭の大きさがそのパワーを物語っていた。クモの巣に捕まっている何匹かのフタスジモンカゲロウを発見した。もしかしたら昨日の夕方スーパーハッチがあったのかもしれない。しかしキャッチしたヤマメのストマックには黒い羽虫が2匹入っていただけだった。久しくモンカゲロウのハッチを見ていないので見たかったなあ・・。本当は、イワナが釣りたくて来たので・・・。というかここにヤマメがいること自体、想像していなかったのでちょっと戸惑いがあった。さっきまでの素早いアタックはヤマメだったのかもしれない。

リースして先に進むと谷が開けて平坦な流れが現れた。イワナの川というよりはヤマメの川というイメージだ。相変わらず、素早いアタックに閉口しながら釣り上がるがそろそろ時間が気になってきた。ここからはポイントの拾い釣りをしていって川から上がろう。雨も降ってきたし先ほどから遠雷の音がひっきりなしに聞こえている。足元を走り回るのはヤマメだろう。「こんなにいるのに何で釣れんのだ?」すっかり自信をなくした僕だが、ちょっとした深みにフライを落とすと久しぶりにヤマメのヤマメらしいアタックがあって確実にフッキング。「お、少しサイズアップ」やっと一安心だ。そのときのownerの顔は相当にニヤケていたことだろう。その後は、ポイントを絞ってヤマメを数尾追加した。結局目的のイワナの顔を見ることはできなかったけど。それはそれで仕方が無い。ここにヤマメが棲んでいる事を知ってちょっとビックリだけど、いずれも立派な胸鰭をもった別嬪ぞろいであった。

ヤマメ
体側の桜色が美しい

辺りが薄暗くなってきた、そろそろタイムアップだ。帰宅後、地図を見てみると最終の家から橋を渡り山道を歩って行くとずーっと下流に出れることを発見した。そこまで下ればイワナの顔を見ることができたかもしれない。次回に・・。

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