4月3日 室原川釣行

 待ちに待った福島県の渓流解禁。

室原川
半年振りの室原川、何故かほっとする僕のホームリバー

よいよ4月、待ちに待った福島県の解禁になりました。解禁は浜通りの室原川からスタートすることに決めていたが、今日の天気予報によると4mから5mの風が吹くらしい。風が出る前の早い時間なら何とかなるかも知れないがどうしたものか、とりあえずは釣行決行の予定で布団に入ったのが本日1時半。早朝5時に目覚めたものの連日の睡眠不足も祟り毛布をめくる元気も起きず、ほとんど脳が眠ったまま。毛布の中でまたしてもフライが無いことに気がついた。前回もフライを急造して出かけたが、今日はこれから起きて巻くしかない、どうしたものか悩んでいるうちに心地良い睡魔に負けて目覚めたのは結局7時だった。年度末の忙しさに心神喪失中のOwnerはソファーで熟睡していたのだった。今更焦っても仕方がないしこれからフライを巻いてから出かけよう。シロハラとフタバとクロカワゲラを数本ずつフライボックスに補充して出発した。

「解禁最初の土曜日だから人も多いだろうな」なんて考えながら車を走らせていたらあろう事か道を間違え高瀬川に出てしまった。途中左折するところを見逃してしまった。「はあ、情けない」まあ、ここまで来ちゃったんだからここで年券を購入した。6,500円なり。「こんな高かったけかなあ?」よく見ると全魚種釣れるらしい。「つうことは鮎も釣れるんだ!」今年はフライで鮎!?なんて良からぬことを考えた。ここまで来ちゃったし、予定変更で高瀬川にしようかとも考えたがここはやっぱり解禁一発目、「初志貫徹するべし。」と耳元で神が囁いた。ちょっとばかり遠回りになったが結局は予定通りに室原川に向かった.こまで2時間さすがに時間かかりすぎでしょ、僕のパワーメーターは既に20パーセントを消費していた。第一釣り人ルアーマン発見、橋の下の深みを狙っていらっしゃる。第二釣り人はフライマンが二人これからなのか釣り終えたのか着替え中らしい。第三釣り人はエッサマン2名、それにしても思ったほどは釣り人がいない。まあ、時間も時間だから第一陣は釣り終えたのかもしれないけどね。

つものポイントは人が入っただろうからポイントを少し休ませるためにも僕は少し下流に入った。ハイシーズンなら数こそ出ないが良いサイズが顔を出すポイントなのだ。竹やぶを潜り抜けて6ヶ月ぶりの川原に立った。今日は慌てずゆっくりとスタートしよう。思ったよりも体感温度は高く、いかにも春の風情。しかし水温は6.7度と明らかに低い。こりゃあ、厳しい釣りになりそうだ。まあ、昼ぐらいになればいくらか水温も上がるだろうからゆっくり行こう。今年、初めてのキャスト(福島県のね)は突然の風に煽られ岸辺の猫柳を釣った。「はあ〜」先が思いやられそう。そんな予感は以外にも当たるもので、魚は出ないけど風のせいでキャストはトラブル最悪の展開になってきた。元々それほど期待していた区間ではなかったけれどこれだけ反応が無いと少々焦ってくる。天気予報は外れることも無く突然強風が吹き出したり止んだりと言う状況で、風が吹けば水面が波立つ始末、チャンスはかなり限られることだろう。こんな状況が続くと集中力も無くなるもので、ちょっとよそ見をした隙に気の抜けたフライにヤマメがチェイス。殺気を無くせば釣れるんだよなあ。(本当か?)「まさか、これが最初で最後って事は無いよなあ・・。」嫌な思いが脳裏を過ぎる。上流に移動しようとしたその時、淵尻から魚影が走った。居ることはいるんだ、それなら釣れない事は無い。しかしここまで予定の行程のほぼ半分、僕のパワーメーターは既に60パーセントを消費していた。

室原川
やっと釣れた室原ヤマメこのサイズでもこんなに幅広なのだ。

くゆるい流れにアップサイドでキャスト、軽くメンディングをしてクロカワゲラフライを流す。フライが流れの尻にかかろうとした時、ヤマメがゆっくりと浮いてきた。やった!と思った瞬間、流れて来た枯れた葦の茎がリーダーに引っかかり、口を開いたヤマメの鼻先からフライを引き離した。「げー!なんてこったい。」ヤマメにくれたはずの合わせは50cmほどの痩せた葦を釣ったのだった。ここでいきなりパワーを20%消費、残量はわずか20パーセントに激減した。それでも今日のOwnerは一味違う、足場を少し上流に移動しダウンクロスで同じポイントにフライ先行で送り込んだ。さっきの出来事をイマイチ把握できなかったらしいヤマメは何の疑いも無くフライを咥えた。「やった、ボは免れたよかったよかった」←本心。20cmにも満たないチビヤマメだけど飛び切り嬉しくパワーは30パーセントまで回復。可哀想だけどストマックを覗かせてもらったら空っぽだった。どうにも掴み所がないまま僕はフライをシロハラコカゲロウパターン#16に交換し先に進んだ。

室原川
オオクママダラのハッチに恵まれての一尾。このスタイルと美しさに脱帽

よいよ本命の区間に到着した。相変わらず反応は無いのだけれど護岸の際で小さなライズを発見した。ここまで耐えた甲斐があるっていうものです。きっと水温も上がってきたのでしょう。ライズは単発で終わってしまったけれどこれからが楽しみだね。いよいよ本命ポイントに到着した。ここは、大きな流れの筋が二本合流しその深みに沈む大石が流れを二分する絶好の場所。ポイントは二箇所の流れ込みとその流れが合流する大石の頭、二分した流れの大石回り、そしてその流れの尻、こんな素敵なポイントはそうは無いよ。

室原川
本当に美しい幅広ヤマメ。この時期にこんなきれいなヤマメに会えるんだよ。

イズはその二分した奥の流れの尻で起きた。僕はその流れの筋にシロハラパターンを送り込んだ。ヤマメはものすごい勢いでフライにアタックしたが、咥えることなく流れに戻った。今度は手前の筋にフライを送った。やはり同様にヤマメがアタックするけれどフライを咥えない。「なんでこんなに渋いんだよお・・。」僕はフライを#20のミッジアダルトに取替えもう一度奥の流れにフライを送り込んだ。今度こそ確実に咥えたヤマメは結構良いサイズだ、手前の流れまで寄ったときフライが宙に舞った。「あ〜!なんてこったい」僕は一人大声を上げてロッドを握った右腕を振り下ろした。フライをドレッシングし直していると沈み石の前でライズが起きた、良く見るとフライサイズ#14〜#12くらいだろうか大きなフライが翅をバタつかせて水面を滑っている。また別の場所でライズが起きた。「おいおい、マジかよ」全く予想していなかったマダラのハッチが始まったのだ。「これを食っていたのか、コカゲロウを食わないわけだ。」ポチッと音を立て小さなリングが広がり水面で羽ばたき始めたところに更に大きなリングが広がり一瞬にして羽ばたきが消えた。水面羽化のカゲロウのはかない運命だ。ここで問題が発生した。シーズン中なら必要なフライボックスが全てベストに入っているのだが、まだ解禁当初なのでミッジのボックスとコカゲロウパターンのフライボックスしか持って来ていない。どうしたものか悩んだ末に胸に着けたフライパッチには去年使ったフライがそのままになっている事に気がついた。その中にブラウンのスルーダンパラシュート#14が一本だけ残っていた。超ラッキー!神は僕を見捨てなかった。

室原川
2010年福島の解禁は二重丸でスタートした。

ライを結び替えて流れ込みにダウンクロスで落とすと、すぐに水面直下でフライを吸い込んだ。決して派手ならいずではなく反転するヤマメがスローモーションで見えた。ロッドティップがグン!としなっる、良い引きだ。なんの疑いも無くスルーダンを咥え込んだヤマメはローリングをしながら流芯に向かう、このフライはバーブレスフックに巻いてあるので気を抜くとばらしてしまいかねない。慎重に足場を移動しようとして下流を向いたときこちらを見ている餌釣りさんと目が合った。軽く会釈し、なおさら慎重に取り込んだ。(いやあ、バレなくて良かった。バレたらカッコ悪いもんね)

広の美人ヤマメはこの渓ならではの美しさ、この時期にこのサイズのヤマメと出会えただけで僕はもう大満足。僕のパワーはここでフル充電されたのだった。ここのポイントで5匹のヤマメと遊び更に上のポイントでも数匹のヤマメと遊んだ。時折吹き荒れる強風の中、最後の最後に幸せな時間が訪れた。福島の解禁スタートは二重丸だった。今日のポイントはダウンクロス、フライ先行で流さないとフライを咥えてはくれなかった。

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