6月19日 只見川本流・布沢川釣行
久しぶりに遠征。奥会津の川へ。
金曜の夜、磐越自動車道を新潟方面へ向かう目的地は只見町。只見川本流のイワナを手始めに奥会津の川を釣利歩く予定だ。梅雨入りしたばかりで天気予報は雨だけれど降水量予想は1mm〜3mm程度と多くはなさそうなので何とかなるだろうとの安直な予想に反してフロントガラスに当たる雨脚は強い。 磐越道の坂下ICを降りてすぐ、国道49号線と沼田街道との交差点にあるセブンイレブンに立ち寄り小休止。只見までは高速を降りてこれからが本番、いつもここセブンイレブンを旅の第二回目のスターティングポイントとしているのだ。 これからが本当に長い道のり、ここ坂下町をスタートし柳津町、三島町、金山町を突っ切りやがて只見町へと只見川沿いに上流に向かう。午前一時過ぎに只見町に到着、只見ダムのインレットの駐車場に車を停めて夜明けを待つことにした。地面にはかなりの水たまりも出来ていてボタボタと音を立てて雨が降っている。
只見川と伊南川の出会い。今日の目的はここで大イワナに出会うことだ。
早朝5時に起きだしてポイントに直行した。只見川と伊南川の合流点が目指すポイント、天気は霧雨程度だが時折降りだす不安定な状況だ。道路脇でタックルのセッティングをしていると一台のパジェロがやって来た。釣り人だろうかタックルを満載した車から降りてこちらに来ると「釣りかい、入漁券はあるか?」と聞かれた。どうやら漁協の関係者らしく現場で日釣り券を購入することが出来たのだが、券は仮遊漁承認証と言うもので「この承認証は遊漁者の便宜上発行した仮承認証で、本証希望者は組合事務所で受けてください」と書いてある。金を払うのに仮は無いだろうと思った、便宜上と言う意味も良く分からないし本当の券が欲しかったら漁協に来いと言うのもいかがなものか。僕らのように夜討ち朝駆けの釣りをする人は決して少なくないだろうし現場売りと言う正式な扱いもある以上、正式な遊漁証を発行すべきじゃないだろうか。
仮遊漁承認証。本証希望者は組合事務所で受けてくださいとの記述が。
何かしっくり来ないままタックルをセットしている僕らの車を追い越して50メートル程先に停まった車から釣り人が降りた。どうやらルアーマンらしい、素早く準備を終えると今僕らが入ろうとしている目の前のポイントに向かって堤防を降りて行く。「おいおい、早い者勝ちかよ、僕らがここにいるの分かってるだろうが。」ここで負けるわけにはいかない、何時間もかけてこのポイントを目指してきた意味がなくなってしまう。僕も急いで河原に降りると、少し下流に下りたルアーマンはこちらに向かってやって来たが、僕の姿を見るとバツが悪そうに僕の少し下流側でキャストし始めた。やはりマナーは守らなきゃね。
投げては流し、スイッチキャストを繰り返すも反応は無く・・・。
今日のシステムはリードフライにワカサギイメージのストリーマー、ドロッパーにフラッシュバックニンフを結んだウェットシステム。スイッチキャストで流芯の向こう側にフライを落とし上流にメンディングをしたら流芯にフライを送り込み下流の曲がれがほどける辺りで自然にターンさせてやる。ひたすらキャストをしては流すの繰り返し、何回か目にゴンと当りがあったがフッキングは出来ずそれ以降は何の反応も無い。思ったよりも水深が浅いようでティップ部にS2をセッティングしたために根掛かりによるフライの消耗が激しい。車まで戻ってティップセクションを交換すれば良いのだがこれがまた面倒なのでそのまま投げ続けた。やがて、無精では釣りは出来ない事を証明する事になる。上流に入った弟も同様で何やら大物とやり取りをしていると思ったらどうやら根掛りのようだ。
無残な姿になったRIOのウインドカッター
それにしても何時までも外れないようなので近づいてみるとなんとラインのティップセクションが水底の石に絡んでしまっているようでびくともしないのだ。仕方がないのでリール毎弟に貸していた僕が最終決断を下しダメならライン切って良いと弟に伝えた。その直後、「あ、外れた」と言う弟の声に「良かった、良かった」と行ってみると何とティップセクションのコーティングが剥がれコアがブツリと切れているじゃないですか、RIOのウインドカッターが惨めな姿になり果てていました。システムは面倒がらずに調整すべしと言う教訓でございました。
ふと堤防の上に目をやると何やらパトロールカーが停まっている、パトロールカーと言ってもお巡りさんのそれではなくダム関係の方か河川関係の方らしい。きっと水位とかの確認に来たのかと思っていたらどうやら僕らを川から堤防に引きずり上げるためのタイミングを見計らっていたらしい。
そんなに水量が増加したとは思えないのに警報が、まさか発電放水とは
間もなくサイレンが鳴り始め、全てを察知した僕は弟を促し堤防の上に上がった。わずか一時間弱の釣りに気力が一気に抜けた。それにしてもそんな増水するほど雨降ってるか?サイレンに合わせて美しいだろう女性の声で放送があった「これから田子倉湖の発電放水が行われます。川のそばにいる人は・・・」「え?発電放水?これから・・・?増水じゃなく?」後で知ったのですが、ここでは平日の朝は良くある話だそうで気をつけないと釣りにならないんだそうです。それにしてもさっきの遊漁証売って行ったたオジサン、それぐらい教えろよ。 本当なら3匹は釣れていいただろう60センチオーバーの本流イワナがあっけなく消えた(爆)。
さてどうしたものか、弟が只見沢に行きたいというのでとりあえず向かってみた。田子倉湖を望むとかなり水位が高く、只見沢も下流は沈んでいることだろうと思いながら田子倉湖沿いに新潟方面へ向かう。浅草岳登山道入り口の駐車場にはテントを張っている人の他に数台の車が停まっていた、浅草岳に登った人だろうか。
只見沢は増水中遠くに残雪の残る浅草岳が
案の定只見沢は増水しており、気象状況から鉄砲水の恐れもあるので入渓は断念した。数年前、大雨の最中川に入っていた釣り人が鉄砲水に流されて行方不明になった川だ、状況判断を誤ると大変なことになるので責任を持って決して甘い判断をしないこと、撤退する勇気を持つことが自然の中で遊ぶ最低限のルールだ。
これからどうしたものかイブニングを予定していた黒谷川に行って見る事にした。黒谷川近くの倉田屋旅館で入漁券を購入して川に向かった。伊南川出会いから釣れる黒谷川は下流の出会い近くは平瀬となっていて釣りやすいが、倉谷地区から上流は本格的な渓流の様相を見せる。下流域の平瀬はさすがに釣り人が多く、全体的に増水気味で上流部への入渓は厳しそうだった。僕らは最下流の本流出会い付近から入渓してみることにした。
花に止まるシジミチョウ。左が雌で右が雄、恋のシーズン。
やはり水量が多く遡行も大変だが水色はとても良く何となく期待できそうな雰囲気が漂っている。僕はドロッパーシステムにピーターロスとテールブルーアンドシルバーを選択しウェットフィッシングで攻めたが全く反応は無し、上流に移動した弟が小さなヤマメを釣っただけで終了、川から上がって昼飯をとることにした。昼食の準備をしているなか、周りの草花に沢山のシジミチョウを見つけた。小さな紫色の雄と茶色の雌が草花の周りを飛び回っている、ちょうど繁殖期らしく交尾中の固体も多く見られた、こんな出会いも釣りをするおまけの楽しみ。
結局、朝から釣りらしい釣りになっていない、本流は水量が多いこともあり伊南川支流の布沢川に入ってみた。川に入るとすぐ小さなライズを発見し静かにキャストしたがあっさり無視されてしまった。弟が少し下流で小さなヤマメを釣った、この川の規模からいってそれほど大きなヤマメは期待出来ないだろうがとにかく魚が居る事は分かった。
ヤマメがローリング、布沢川で
川の中央の大きな石が流れを二分してちょっとした深みを作っている場所にフライを流すと、少し良いサイズのヤマメがフッキングした。弟に先を譲り釣ったヤマメの写真を撮った後、しばらく弟のその釣りを眺めていた。フッキングするヤマメは相変わらずチビサイズ、弟の先に進むとちょっとしたプールに出た。まずは淵尻に静かにフライを流すとちょっとよそ見をした瞬間アタックがあったが小さい、今度は流れ込みの筋にフライを流してやるとヤマメがヒット、Orvisのウルトラファインのティップが綺麗に曲がった。とりあえず20cmは超えているようでこの川一番のヤマメだろう(笑)ストマックを見てみると殆どがミッジサイズだが大きな陸生昆虫も入っている。とりあえず何かを偏食していることは無く流下するものは何でも食べているという感じだろうか。
布沢川のヤマメ。なかなかの別嬪さんである。
その先のなかなか素敵なポイントを弟に譲り上流に向かうと橋が架かったその下にちょっとした深みを作った場所があった。ポイントの幅は狭く僕は慎重にフライを落としと、ゆっくりとフライを咥えたヤマメは結構強く、ネットに入ったヤマメは22cmほどのヤマメだった。この先は堰堤で区切られ遡行はここまで僕らは川を上がった。
まだ時間はあるし舘岩方面に向かおうかと思ったが一つ問題があった。今日は2010サッカーワールドカップの日本対オランダ戦がある日で車のTVか携帯電話のワンセグで見るしかないと思っていたのだが旧舘岩村はTVの難視聴地域なので見れないかもしれないのだ。そんな話をしながら車に戻る途中、地域の防災放送から「本日、ただみ・ブナと川のミュージアムで100万人のキャンドルナイト・・・が開催されます・・・」と言う案内が流れて来た。「お、何かイベントがあるらしいぞ」弟は「ブログネタには最高かな」と僕を冷やかした。只見ならTVも見れるだろうし今日の舘岩行きは止めて只見町に戻ることにした。
100万人のキャンドルナイトのイベントに参加
『100万人のキャンドルナイトin只見』は只見川近くの「ただみ・川とブナのミュージアム」が会場で地元の皆さんや高校生が中心になって運営され、地元のお店が出展されていたり地酒の無料試飲コーナーがあったりして酒好きの僕は色々な銘柄をしっかりいただいた。イベントの中心は陽が落ちてから、沢山のキャンドルに火を灯しコンサートがあったり線香花火をしたりと小さな町の小さなイベントはスタッフの皆さんと地元の皆さんの手作りのイベントだった。地元の皆さんと一緒にとても心地の良い時間を共有できて幸せな一日になった、釣りに来ていたことなどすっかり忘れて。イベント終了後、スタッフの声かけでミュージアムの中でプロジェクターでワールドカップを応援した。ラッキー!