7月10日 桧枝岐川釣行
ゲリラ豪雨にも負けず桧枝岐川へ。
福島県内は数日前から大雨にたたられ今日も大雨注意報発令中。郡山がゲリラ豪雨に襲われるなど、今年の梅雨前線は超強力でしつこく日本上空に居座っていた。おかげで県内の河川は増水と濁りでどこも釣りにならない状態の中、桧枝岐川に一縷の望みをかけたのだ。桧枝岐川自体が割と水の引けが速い事、最悪の場合、取水されているC&R区間なら釣りになる可能性が高いという事、それに今日のの深夜には雨が上がると言う天気予報を信じてのヒヤヒヤ釣行となった。
深夜の露天風呂には僕と弟の二人だけ。ゆっくり温まって癒されました。
桧枝岐に向かって走行中、車を運転していた弟に「木賊温泉入って行くべ、でも桧枝岐に着くの朝方になっちゃうな」って言うと、「じゃ、今日は木賊温泉で車中泊にして明日の朝早く桧枝岐に移動する?」と衝撃の発言。「えっ!なんですと、それすごく良い考えじゃねえの温泉出たら飲めるし」と言う事で、木賊温泉に直行する雨は上がっていて、露天風呂のすぐ脇を流れる西根川の水も澄んで温泉の灯りを水面に映していた。いつもより若干水位は高いがこの様子なら釣りの方も問題ないだろう。深夜の露天風呂には僕と弟の二人だけ、のんびりとお湯につかり浮世の垢を落とした。
喉が渇いたのか?メイフライが自販機を覗く。
車に戻り持参した缶ビールの栓をきった、弟はなにやらジュースの自動販売機の所でゴソゴソやっている。「まさか、それだけは止せ」、近づいてみると自動販売機の灯りに集まった虫達の写真を撮っていた。ヒゲナガトビケラを始め数種類のカゲロウ、そして大きな蛾まで動き回っていて、この虫達は昼も夜も分からずに居るのだろうか「明日は睡眠不足に違いない。」などと無用の心配をするのだった。さて、虫の心配をしている場合ではない、僕達も睡眠不足になってしまうのでさっさと車に戻り眠りについた。
朝方、隣に停まった車の無神経なエンジン音で目覚めた僕達は山を越えて桧枝岐に向かった。この峠には日本鹿が住んでいて時折道路を横切る事がある。弟に「気をつけろよ」と話していたその矢先、何物かが車の前に現れ、ライトに驚いたのか下り坂を必死に走り右側の藪に消えていった。「あれ、何だ?」「犬?うさぎ?カンガルー?」僕らの会話が曖昧なのは、目の前を走り去った生き物が今まで見たことも無いもので、その特定が出来なかったからだ。ちょうど中型犬位の大きさで明るい茶色系の色をしたその動物の特定を難しくしている原因はその尻尾の形状だった。細くて長い尻尾はトラや猿のようで一メートル位の長さだったが、どう考えてもそのような動物の想像がつかない。未だ正体不明のそれについて何かお心当たりのある方は是非お知らせくださいませ。
ミニ尾瀬公園前のC&R区間若干の濁りと増水があるが釣りには問題無いだろう。
ミニ尾瀬公園前の駐車場に車を停めると早速釣りの支度に取り掛かった、まずは目の前のC&R区間を釣る事にした。弟は「エリアの一番下から釣って来る」と言って下流に下ったので、僕はミニ尾瀬公演の橋の少し下流から入渓しすることにした。白のディアヘアーのオーバーウイングにナチュラルCDCをアンダーウイング、オレンジのボディにパーマハックルを施した#12番のカディス系のフライを6Xティペットに結んだ。大雨の後だけに強い流れには入っていないだろうしもしかすると水面に興味を示すイワナも少ないかもしれない、こんな日は岸沿いの浅瀬の緩い流れか、堰堤下のプールの開けた弛みのあたりに居るものだ。
稚魚放流だろうイワナ。なかなか綺麗だが如何せんサイズが。
案の定流れの中心付近の良さそうなポイントからは反応が無く、川岸の水深の無いところから走る魚影が時折見られた。岸沿いの足首ぐらいの水深のところからポツリポツリと顔を出すイワナはせいぜい20センチくらいで、サイズ的には極めて物足りないのだが最近の成魚放流のイワナと違いオレンジ色の綺麗なお腹とピンと張った鰭が稚魚放流されたイワナであることを教えてくれる。ただ、どうも魚影が少ないのが気にかかるいつもならもっと釣れていて良いはずなのだが走る魚影もいかにも少ないのだ。大水が出て下流の堰堤下まで流されてしまったのかも知れない、特に成魚放流されたイワナは潜む場所も少ないエリアでは居残るほうが難しいエリアなのだ。
橋下の、このエリアにしては水深のあるポイントは魚影も濃くフライフイッシャーも立ち代り入るので魚もスレていてサイトフィッシングには楽しいポイントだ。いよいよ楽しみにしていたポイントをと思ったら、土手の石積みを一人のフィッシャーが降りてきてあれよあれよと言う間に対岸に入って来た。「おいおい、マジですか。僕ここに居るじゃあないですか」僕に気づかないのかと思ったのだが、こちらを見て僕と目が合っても全くの知らん顔でキャスティングを始めた。それにしてもなんて礼儀知らずなのだろう、会釈の一つもしたら良かろうものを。良く餌釣りの人のマナーを騒ぐフライフィッシャーが居るが同じ穴のなんとかである。マナーは釣りスタイルで決まるんじゃなく個人の育ち方だって言うのを敢えて書いておこう。『お里が知れる』って奴ですよ。さて、僕は彼の邪魔をしないように遠巻きでその場を離れ上流に向かったのだが、そこには既に別の釣り人が入っており僕は彼の後を追うように彼の釣り残しを釣って行ったが、彼が歩いたすぐ後なのでそうそう釣れる訳も無く数尾のイワナをキャッチしてC&R区間の釣りを終えた。 僕らは少し上流に移動しキリンテのキャンプ場付近から川に入った。上流部はやはり増水しており川通しするのもちょっと大変、いつもならイワナが顔を出すであろうポイントもその水量からイワナの姿は全く見られなかった。水量の多い左岸は全くと言って良いくらい魚影もないので流心の水圧に耐えながら右岸に渡った。右岸の浅場の小さなポイントにフライを流すと立て続けにイワナが釣れたがサイズはやはり20センチ程度、しかもその後は全く反応が無く上流から下って来た餌釣りさんと出会ってここの釣りを終了した。
七入キャンプ場前の流れ、ここから連続で5尾のイワナをキャッチした。
さらに上流に移動し、七入のキャンプ場周辺を釣る事にした。その前に七入の駐車場で遅い朝食をとりしばし休息をとった。少し風が出てきた天候が変わるかもしれないな、桧枝岐川はここ七入から上流部を実川と名前を変える、僕らは支流出会いの橋下から川に入った。支流の出会いの好ポイントにプレゼンテーションすると一投目にイワナがライズした残念ながらフッキングしなかったが少し良いサイズだったので次に期待して上流に進んだ。七入りキャンプ場のすぐ下のプールに何気なく流したフライにイワナがヒットしたあまりに唐突だったのでちょっとだけ面食らった。
連続HITしたイワナだがサイズがもうちょっと。
サイズは今までと同サイズで綺麗なイワナだった。キャンプをしていたフライフライフィッシャーがこちらを覗き込んでいる、ちょっとだけ良い気分「釣れたよ♪」ここにいることは分かったので次に流れ込み脇の巻き返しにプレゼンテーションするとまたしても同サイズのイワナがヒットした。先ほどのフライフィシャーもこちらが気になる様子で、こちらをチラチラ見ていた。次は流れの脇の少しだけ流れの弱い沈み石のところを流してやるとまたしてもヒット。連続ヒットに先ほどのフライフィッシャーも今度はこちらまで寄って来て僕のやりとりを眺めていた。
木の枝が張り出した岸沿いにアンダーキャストでフライを送り込んだ。
さらにこのポイントで2尾を追加し、静まり返ったプールを後に川から上がった。そろそろ帰ることにしよう、共同浴場の『燧の湯』で汗を流し裁ちそばでも食ってから帰ることにしよう。『燧の湯』に向かう途中、もう一度C&R区間でちょっとだけ遊んで行こうと言う事になった。さすがに真昼間の一時過ぎ、気温も高く汗ばむほどの状況と立ち代り釣り人が入っている事もありさすがに釣れない。C&R区間の最終エリア、左岸のブッシュの下に落ち込みへとつながる 少し厚い流れがあった。僕はそれなりの予感があってティペットに7Xを継ぎ足しフライングアントの#17に結び替えた。アンダーループキャストでポイントの上に張り出した枝をクリアしターンオーバーを抑えてフライ先行で流すと落ち込み際で飛沫が上がった。
ブッシュ下から出た28センチ。なかなかの強い引きを見せた。
強い、なかなかの引きだ、ロッドがグングンしなる、強引に手前の瀬に引き出すと瀬の中を上流へ下流へと縦横無尽に走り回る。>今日の最後を締めくくる28センチほどのイワナは残念ながら成魚放流もの、それでも川底の石の色を映したオレンジ色の腹のイワナは鰭もほぼ回復し結構なパワーで僕を楽しませてくれた。今日の釣りはこれで終了、
『かどや』さんのせいろそば。裁ちそばに季節の山菜が付く。
『燧の湯』に寄って汗を流した後、 『かどや』 さんで裁ちそばをいただいて帰路に着いた。PS:『裁ちそば』の由来は板状に伸ばした蕎麦を刀で裁つように切る事から来たものです。普通、そばは押し切りするけれどね。